MLflow と DVC を理解する
今日は、MLOpsを学び始めたばかりの方向けに、 「MLflow」と「DVC」 という2つの便利なツールを解説します。
どちらも「機械学習の実験やデータを効率的に管理するための道具」ですが、役割が少し違います。
ステップ1:なぜ MLOps が必要なのか?
機械学習を学んでいると、こんな悩みが出てきませんか?
- どのデータで学習したか分からなくなる
- どのハイパーパラメータで精度が一番良かったか覚えていない
- チームで作業するとファイルがバラバラになる
こうした「実験の再現性」や「データ管理の複雑さ」を解決するのが MLOps (Machine Learning Operations) です。
そして、その中でもよく使われるのが MLflow と DVC です。
ステップ2:MLflowとは?
MLflow = 実験管理ツール
主に「モデル開発時に何をしたか記録してくれるノート」の役割です。
できること:
- ハイパーパラメータやモデルの精度を自動で記録
- どの実験が一番良かったか比較できる
- モデルを保存して後で再利用できる
イメージすると、
「研究ノートを自動でとってくれるアシスタント」 みたいな存在です。
ステップ3:DVCとは?
DVC = データと実験のバージョン管理ツール
Git では大きなデータや学習済みモデルを管理するのが難しいですよね。
そこで役立つのが DVC。
できること:
- 大きなデータやモデルファイルを効率的に管理
- どのデータで学習したか追跡可能
- データをクラウドストレージやリモートに保存しつつ、Gitと連携できる
イメージすると、
「データ版のGit」 です。
ステップ4:MLflowとDVCの違い
ツール | 主な役割 | イメージ |
---|---|---|
MLflow | 実験の記録・管理 | ノート |
DVC | データ・モデルのバージョン管理 | Git for Data |
つまり、
- MLflow → 「どんな実験をしたか覚えておく」
- DVC → 「どのデータ・モデルを使ったか管理する」
両方を組み合わせることで、実験とデータの両方をきちんと管理できます。
ステップ5:実際のワークフロー例
- DVCでデータを管理
dvc add data.csv
でデータを追跡- GitHubにコミット → 実データはS3などに保存
- MLflowで実験を管理
- 学習スクリプトに
mlflow.log_param()
やmlflow.log_metric()
を追加 - 精度や損失が自動で記録される
- 学習スクリプトに
- 再現性を確保
- 「データのバージョン」+「実験の記録」を組み合わせることで、後から完全に再現可能
ステップ6:初心者が触るときのオススメ順
- まずは MLflow で「実験の記録」を体験する
- 成果がすぐ見えて楽しい
- 次に DVC で「データ管理」を導入する
- チーム開発や大規模データのときに役立つ
まとめ
- MLflow = 実験ノート(どんな実験をしたか残す)
- DVC = データ版Git(どのデータ・モデルを使ったか管理する)
- 両方を使うと、MLOpsの基礎がしっかり固まる
最初は難しく感じるかもしれませんが、
「再現性を高めるための便利ツール」と捉えると理解しやすいです。